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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)894号 判決 1949年11月01日

被告人

佐藤新八

主文

本件控訴を棄却する。

理由

被告人弁護人友松千代一の控訴趣意は末尾添付の控訴趣意書と題する書面記載の通りである、よつて訴訟記録及原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実について精査を遂げ次の通り判断する。

論旨第一点について

所論は本件は常習賭博にあらずして單純賭博であると主張しこの点について原判決の事実認定を非難するものであるが、原判決挙示の証拠である被告人の前科調書、並に同人の原審公判延における任意の供述を綜合するときは明かに本件賭博が常習として爲された事実を認定できるのであつて所論は到底首肯することができない、されば原判決が本件被告人の所爲に対し刑法第百八十六條を適用処断したのは正当であり毫も法令違背重大なる事実の誤認に基く錯誤あるものではないまた、所論は本件起訴状の公訴事実は常習賭博ではなく單純賭博であると主張するけれども起訴状を閲するときに公訴事実は明らかに常習賭博の事実の記載である、たゞ適條として刑法第百八十五條と記載があるけれども訴訟記録を通覽するときは、これは刑法第百八十六條の誤記と認むべきが相当であるから原判決には何等起訴の範囲を逸脱した違法は存在しない。論旨は何れも理由がない。

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